星
星
ある日、この世界に慣れ始めた私は、一人で姫の元に向かった。
道端で綺麗な花を見つけた私は姫にあげようと思い、ちょっとだけもらうことにした。
花を摘んで先を急ごうと思ったとき、草むらの中に男の子がいるのが見えた。
あんなところで何をしているんだろう?
その男の子がしゃがみこんで草むらに消えたとたん、何か嫌な感じがして、
私はその男の子がしゃがんだあたりに近寄った。
「何…してるんですか?」
しゃがみこんで何かをしていた男の子に声をかけると、男の子は驚いて私から距離をとった。
うわ…この子、金髪に青い目をしてる…綺麗な男の子…
「お前は…」
「あの…具合でも…」
「何者だ…」
「え?」
男の子は明らかに私に敵意を向けている。
あれ?ちょっと待って…藤姫に聞いたあかねちゃんたちが戦っている鬼って…
「もしかして…君は鬼?」
「この姿を見て、鬼じゃないっていう奴がこの世界どこにいる・・・」
そういわれても、私の世界じゃ普通だし…
「お前は何者だって聞いてるんだよ…僕を止めに…まさか、龍神の神子の手下か!」
「手下って…僕は…。手下というよりは、友達というか…」
「龍神の神子の仲間ならお館様の敵だ!」
そういうと、男の子は私に向かって殴りかかってきた。
私はとっさによけたけど、男の子は攻撃を続けてくる。
「ちょっと待って!僕は…」
「うるさい!死ね!!」
草むらで戦っている時、男の子のすぐ後ろに綺麗な女の人が現れた。
「なにやってるんだいセフル?この地を汚し…って何やってんだい?」
「見りゃ分かるだろ…敵を殺そうと…」
「また、ずいぶんと可愛い坊やじゃないか…この坊やも龍神の神子の手下なのかい?」
「だから、ちょっと待ってくださいって言ってるじゃないですか!!
さっきから手下手下って…僕は…」
「ちょっと待てよ…確か八葉は全員そろっていたよな?」
「ああ…あと一人龍神の神子の手下になるものといえば…」
「お館様が言ってた奴じゃないのか!」
「きっとそうだよ!!坊や…ちょっと一緒に来てもらうよ?」
「え?」
私が驚くまもなく、一瞬にして景色が変わった。
ここ…どこ?
「さぁ、さっさと歩け…」
男の子に背中を押されて、私はまっすぐ暗い洞窟のようなところを歩いていった。
しばらく行くと、明かりがともっている広い場所に出た。
そこには、私をここに連れてきた2人とは別に、3人鬼らしき人が居た。
「ご報告いたしますお館様!お館様が先日おっしゃっていた星の一族の末裔らしき者を連れてまいりました!」
私をここに連れてきた男の子が仮面をつけた人にひざまずいて報告を始めた。
あれ?ちょっと待って…
今私のこと星の一族の末裔って…
どういうこと?!
「この者が星の一族の末裔と?」
「はい…最近龍神の神子の手下に加わった者みたいです…」
仮面をつけた人は、そう男の子から聞くと、黙って私の前に来た。
「…名は?」
「……」
私がそう答えると、私の顎を掴み、少し上を向かせた。
「…本当の名を明かした方がよいぞ…」
「え?」
「そなた…男と偽っておるが、女だな?」
どうしてばれてるの!!
「数日前異世界から現れたらしき力は女の物だったからな…
もう一度聞こう…名は?」
「……です。」
「か…まだ力は目覚めておらぬようだな…」
「力?」
仮面の男は私を解放すると、またもとの位置に戻った。
「そなたは、今からここで、われわれの星の一族として仕えるのだ…
セフル…部屋を与えてやれ…」
「はっ!」
仮面の人の命令に、男の子が返事をした。
ちょっと待ってよ!ここで仕えるって…鬼の一族に…
あかねちゃんの敵になるってこと!!