井戸
井戸
私は今日この高校に転校して来た。
クラスの皆はとてもいい人ばかりで、私はすぐにうちとける事ができた。
あれ?そういえば、二つ席が開いている…今日はお休みなのかな?
そう思った私は近くにいた女子生徒に話しかけた。
「あの…今日お休みの人いるんですか?」
「…え?あ…あの席は…」
その子は少し考えると、
『どうせいつかはばれるし…』
と言って話し出した。
「元宮あかねって子と森村天真って人の席なんだ…彼女達ね…」
その子は誰にも聞こえない様に小声で言った。
「…入学早々行方不明になったの…」
「行方不明?」
「うん…あ、この事あんまり気にしない方がいいよ…結構タブーっぽくなってるから…」
「そうなんだ…」
「あ、そうそう…それからね…これも噂なんだけど、学校の裏に井戸があるの…そこがね異界につながってるとかいう噂があるの…」
「え?異界?」
「そう…この世の中にそんなの考えられないけどね…でも、さっきの二人…彼女達があそこで消えたって噂があるのよ…」
私はその井戸が凄く気になった。私オカルトっぽいの好きだもんなぁ…
そして、どうしても気になった私は一度家に帰り、着替えるとその井戸に向かっていた。
あれ?なんで??私井戸の場所知らないのに…勝手に足が…
なんか…行かなきゃいけない気がする…誰かを守らなきゃって…
でも、誰?誰を守るの?誰を助ければいいの??
何時の間にか私は井戸の前にいた。古ぼけた井戸…
でも、なにかが気になる…
私は井戸のふたに手をかけた。
え?うそ…引きずり込まれる?!な…なんなのこの井戸!!!
変な光に包まれたかと思うと、私は井戸の中に落ちていた。
そして、気がつくと見覚えのない、今までいた学校とはまったく違う世界に倒れていた。
私は、あのクラスメートが言っていた言葉を思い出した。
アノ井戸ハ異界ニ繋ガッテイルラシイヨ…
…ここ…どこ?
まさか…異界?!