お題
IV

息切れを軽く整え、アイツの部屋の扉をノックしたけど、アイツはまだ帰っていないようだった。

「どこ行きやがった…」

オレは再び走り出した。




どこだ…どこにいるアンジェリーク…
今すぐ会いてー…会って…とにかく謝りてー…
あんなこと言ってオレ…最悪なのはオレだった…




「ハァ…ハァ…ハァ…ハァ…」

走るだけ走って、もう走れないと思ったとき、オレはやっと見つけた。

オメーは悲しそうな顔で湖の水面をじっと見つめていた。

あれからずっと泣いてたのか、目が少し腫れているみてーだった。
あれからずっとココで?
ずっと泣いてたのか?

そう思った瞬間、オレの心は締め付けられるかと思った。
息を整えると、オレはゆっくりと近づいた。

「…っ?!」

オレを見つけた瞬間、アンジェリークは驚いて目をこすると、
何でも無かったかのように立ちあがってオレを見つめた。

「こんにちはゼフェル様!また、お会いしましたね…」
「オメー…」
「あ、えっとさっきは突然帰ったりしてすみませんでした…」
「いや、それは…」
「あの、それじゃ私はこれで…」

オレとじゃ気まずいからか、アンジェリークはそそくさとオレから離れるように湖を後にしようとして、
オレの横を通りすぎた。
「待てよ!!」

オレは思わずアンジェリークの腕を掴んだ。

「痛っ…」
「あ、悪ぃ…」

アンジェリークが顔をしかめたからオレは力を弱めた。

だけど、離しはしなかった。
ココで離したらオメーは絶対どこかに行っちまう…
そう思ったから…

「離して下さいゼフェル様…」
「嫌だ。」
「私、育成に行かなきゃ…」
「行くな…」
「え?」

オレは思わずアンジェリークを抱きしめた。

「ゼフェル様!!」
「…悪かったなさっきは…ひどいこと言って…」
「え?」

オレは抱きしめたまま言葉を続けた。

「ゼフェル様…いいんです。もう私気にしてませんから…」

オレが相当参ってると思ったのか、アンジェリークはそっとオレの背中を、
まるで子供をあやすかのようになでた。

それから、離れようとするアンジェリークをオレは離さなかった。
いや、離せなかった。

「昨日、オメーがランディと一緒にいるところを見た…それで、オメーはアイツのこと好きなのかと…」

オレがそう言うと、アンジェリークの体がこわばった。

「ち、違います!ランディ様には話しを聞いていただいただけで…」
「ああ、さっきランディの野郎に聞いた。」

オレは少し体を離すと、まっすぐにアンジェリークを見つめた。

「ランディにそう聞くまで、オレはすげーむかついてた。
はっきり言ってな、オレ今日はオメーに会いたくなかったんだ…
オメーのこと絶対傷つけると思ってたから…
オメーをぜってー祝福してやれねーと思ってたから・・・
案の定、オメーを傷つけて…こんなに目が腫れるまで泣かして…」

オレはそっと頬に手を添え、親指で瞼をなぞった。
その間、アンジェリークは大人しくオレのしたいがままにさせてくれていた。

「オメーが誰を好きでもこの際どーでもいいや…」
「え?」
「オレはオメーが好きだ。誰にも渡したくねー…
だから、他の奴よりオレがいいってこと証明して、
オメーを振り向かせてみせる…いいな覚悟しとけよ?」
「あ…あのゼフェル様?!」
「なんだよ…」
「い…今…」
「聞こえなかったのかよ…オレは、オメーに惚れてるって言ったんだよ。」
「う…嘘…」

オレの言葉を聞いたとたん、アンジェリークは再び涙を流し始めた。

「なんで泣くんだよ!泣くほどオレが嫌いか?」
「ち…が…違います!」
「じゃあ、なんで泣いて…」
「私も…ゼフェル様が好きだから…」
「…は?」

オレは一瞬信じられなくてポカーンとアンジェリークの顔を見つめた。

「ゼフェル様が好きなんです。」
「マジかよ…」

オレはそう聞いたとたん、脱力した。
俺の今までの怒りって何だったんだよ…

「あの…ゼフェル様?」
「そう言うことはもっと早く言えよな…」
「え?でも、そんなこと言われても…」

アンジェリークは赤い顔でオレを見つめてた。

「ぜってーに離さねー…他の奴のこと好きになったりしたら、ぜってー許さねーからな!」
「それは、ゼフェル様だって…私のこと離したら許さないですからね?」
「上等じゃん…」

オレ達はそう言って笑った。



オレは、やっと手に入れた腕の中の小さな…
でも、オレの全てを包み込んでくれる大きな天使を一生離れないことを誓った。
もし、こいつが女王になったとしても、こいつはオレが守る。
他の誰にも渡してたまるかよ…


ま、本人には言ってやらねーけどな…
たまには言ってやるかも知れねーけど、恥ずかしくて言えるかよこんなこと…

「ゼフェル様?」
「あ?」
「行きましょう?」
「ああ。」


しっかりと繋がれた手に幸せを感じながら、オレ達は二人並んで笑顔で歩き出した。


なんとなく、ランディ様の『君のためにここにいる』を聞きながら、
思いついたネタだったんですが・・・
文が下手で上手く表現できなかったです・・・(泣)
おまけに長いし・・・(汗)
こんな物でよかったら、どうぞ貰ってやって下さいませ・・・
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