ドリー夢小説 不安


夜も随分とふけ、八戒と悟空は自室に戻って行った。
一人になったはベットに寝転び、高い天井を見つめた。

「…どうなんだろう…私…」

呟いたのはが…
いやがはじめて見せた女の部分だった。

「…また…一人ぼっちになるのかな…」

彼女はベットの上寝ながらで自分の膝を抱いた。

「はぁ…」

彼女は窓辺に立った。
そして、一つにまとめていた長い髪を解いた。
髪をおろした彼女はまるで月の精の様に美しかった。

「入るぜ〜…八戒が明日の朝…」

いきなり入って来た悟浄は彼女のその姿を見てその場で固まった。

「…悟浄?なんだよ?」
「…え?あぁ、か…なんか綺麗な女の月の精霊のお姉様でも舞い降りてきたのかと思ったぜ…」
「…俺にそんな臭いセリフはいてどうすんだよ…」

はこの姿を見られた事に動揺していた。
しかし、その動揺を隠す様にいたって普通に会話を続けた。

「で?なんか用?」
「…あ、ああ八戒が明日はお昼くらいに発つってよ…」
「分かった…サンキュ悟浄…」
「あ…あぁ…じゃぁな…良く休めよ…」

悟浄はそのまま部屋を去って行った。
悟浄が去ったのを確認すると、彼女はベットに倒れ込んだ。

「はぁぁぁぁビックリしたぁぁ…まったくなんでいきなり入ってくるのよ!!」

は髪を再び結びなおした。

「…まだばれてないよね…」

少し不安を抱きながら彼女は一人の時間を過ごしていた。
しかし、一人だと話す相手もいなくて、様々なことを悪い方に考えがちである。
もまたそうだった。

(また…一人ぼっちか…)

そう呟くとは苦笑した。

(何でだろ…?なんでこんなに寂しいんだろ?なんで…あいつ等と離れたくないんだろ…
バカだな…まだあいつ等知って2日も立ってないってのに…はまったかも…)

は再び窓辺に立った。星が輝く綺麗な夜だった。

「…気分転換に行くか…」

は剣を手にすると、外へと向かった。

町外れに星が綺麗に見える大きな木があった。
その木の下に腰を下ろすと、は星を見上げていた。

「…はぁ…」
「…何をしてるんだ?」
「っ?!」

は思わず剣を握り締め立ちあがった。
しかし、姿を現したのは意外にも三蔵だった。

「…なんだ…あんたか…驚かせるなよ…」
「…お前は隙があり過ぎなんだよ…」
「うるせぇ…気分転換だよ…あんたは?夜のお散歩?」
「…まぁな…声が煩くてな…」
「声??誰の??」
「…お前の声だよ…」
「…は?お、俺の声?俺そんなに独り言大きかったか?」

は女の口調になっていた事を思い出し、ばれたのかと思い動揺した。

「ちがう…心の中の声だ…」
「…さすが三蔵様…人の心まで読めるんだ…」

ばれてなさそうな事に気がついたは動揺を隠すように話し出した。

「…あほか…読める訳ねぇだろ…」
「は?だって今…」
「…ある程度力(霊力)のある奴だとそいつの心が勝手に流れ込んで来るんだよ…」
「ふ〜ん…で?俺何を三蔵様に訴えてたんだ?」
「…一人になりたくない…二度と捨てられたくないってな…」

は思わず三蔵を見た。

「…図星か?」
「…さぁな?俺じゃないかもよ?」
「…かもな…」

三蔵は再び煙草に火をつけた。

「…なぁ…もしそれが俺だったら…どこまでつれてってくれる?」

は表情を見せない様に呟いた。

「…知るか…俺はあの三人の面倒だけでもううんざりだ…」
「…そっか…」

は泣きそうなのを我慢しそう呟いた。


また…一人ぼっちだ…


は確信した。
どんなに好きになりたい…
どんなに心を許したいと思っても、この四人の中には入れない。
そう思った。

「…まぁ…」
「??」
「…もう一人くらい増えた所で変わらないがな…」

三蔵は少し笑顔でそう呟いた。

「…ついてって…いいのか?」
「…勝手にしろ…ただし…もう二度と俺に泣きつくな…泣きつくんなら…」

が不思議そうに三蔵を見ていると、三蔵は少し照れくさそうに言った。

「…ちゃんと口に出して言え…それと…あのバカ共にもな…」

三蔵が照れ隠しに歩いて行く方向には三人が笑顔で立っていた。

「皆…」
「…どうしたんですかこんな夜更けに…逢引ですか?」
「抜け駆けはやだねぇ三蔵…」
「…どうした?三蔵になんか言われたのか?お前…泣きそうな顔してるぜ?」

正面に来た悟空にそう言われ、は苦笑すると、悟空の肩を抱き、笑顔で答えた。

「そうなんだよ…三蔵がいじめるんだぜ!…俺にめちゃくちゃ大変な仕事押し付けるんだ…」
「そうなのか三蔵!!」
「煩ぇ!寝るぞ猿!!」
「猿って言うなよ!!」

三蔵と悟空は宿に向かって歩き出した。

「…大変な仕事…ねぇ…」
「そんなに僕達は問題児ですか?」
「さぁ?三蔵が苦労してる事は確かだな…」
「言ってくれるじゃん…」

三人は笑顔で話していた。

「…なぁ…俺…いつまでいていい?」
「変な事聞くなよ…」
「え?」
「仕事押し付けられたんだろ?だったら、その仕事片づけるまでじゃん…」
「…そうですね…とりあえず、僕達全員の居場所が見つかるまで…でしょうかね…」

八戒と悟浄は笑顔だった。

「…本当に大変な仕事押し付けてくれたよな三蔵様も…」

は満天の星空を見上げてつぶやいた。

「結構楽かも知れないぜ?」
「そうか?…悟浄とか絶対に見つかんなそうだよな…」
「言うねぇも…こうなったらぜってぇ見つけてやんない…」
「ひでぇ悟浄!それじゃ俺お前等から離れられないじゃん!」
「…いいんじゃねぇの?」
「そうですね…いいんじゃないですか?」
「…サンキュ…」

は笑顔でそう言うと宿に向かって歩き出した。

「なんかすっげー眠い!!俺一人でゆ〜っくり寝よう♪」
「あ!ずりぃ!!なぁ…俺と部屋変わんねぇ?」
「変わらねぇ。」
「このっ…」
「おや?悟浄は僕と同室嫌なんですか…じゃあ今度から悟空と一緒にしましょうか…
今ならまだ悟空も起きてるでしょうから…」
「…それは遠慮しとく…」
「そうですか?僕と同室嫌なんでしょ?あ、それともと僕が取り替えましょうか?」
「えぇ!!なんで俺が悟浄と一緒になんなきゃいけないんだよ!!」
「なんだよ?なんか文句あるのか?」
「あるよ!!お前部屋入る時ノックしないんだもん!!」
「…そうなんですか悟浄?」
「え?あ、いや…その…」
「…まったくいくら男同士とはいえ礼儀はちゃんとして欲しいですね?」
「そうだよな八戒!」
「おい…お前等…」
「さぁ、セクハラ河童は無視して帰りますか。」
「ああ!」
「待てこら!なんだよそのセクハラ河童って!!!」

は八戒と悟浄と共に宿に戻った。
その途中、彼女は今までにない暖かなもので心がいっぱいになっているのがわかった。

こうして彼女は性を隠したまま三蔵一行についてくこととなったのだ。