ドリー夢小説
旅立ち
3 旅立ち
「あの…」
翌朝早く沙羅が三蔵達に話しかけた。
「昨日はよく眠れましたか?」
「ええ。おかげさまで。ありがとうございました。」
「よかった…あの…一つお願いがあってきました…」
「何?何?可愛い沙羅ちゃんの頼みならなんでも聞くぜ?」
「…の事なんです…をこの村から出して欲しいんです…」
「…どう言う事だ?」
「・・・は…もともと他の人間の村の者でした…だけど、ある日の村が妖怪によって以外の人間皆殺されたんです…
は一人この森に逃げ込んできました…それからは…この森…私達を守るんだって…強くなって…いつも守ってくれるんです…
だけど…だけど、をこのままここにおいてはいけないんです…には生きるべき世界がある…そう思うんです…」
「…なぁ沙羅ちゃん…その頼みだけは聞けねぇわ…」
「どうして!!」
「…僕達はこれからもっともっとすさまじい戦いを強いられる様になると思うんです…それに何も関係ない彼を巻き込むわけには…」
「そりゃ…俺が一緒だったら楽しそうだし…俺一緒に行きたいけど…」
悟空が三蔵を見た。
「そう言う事は他の奴に頼むんだな…それに、がここを出たくなったら自分から出てくだろう…」
「でも!!このままじゃ…この森に食われちゃうんです!!」
「…どう言う事だよそれ?」
「…この森は…私達は外界からの侵入者を一時迷わせ、その生気を吸って生活しているんです…もちろん殺すようなことはしません…少しの生気ですから…
だけど、が来てからが外界の敵を排除してくれるおかげで私達の生気の元は経たれました…このままでは私達は死ぬんです…
私が反対しても、たぶん村の皆…この森全体がから生気を奪おうとするでしょう…私はを犠牲にしたくないんです!!」
「…それ…マジ?」
「…はい…」
沙羅はうつむいたまま顔を上げようとはしなかった。
「…どうします三蔵?」
「…無理だ。」
「この村をぬけるまで出いいんです!!お願いします三蔵様!!!」
沙羅は涙を浮かべていた。それを見た三蔵は小さく溜息をついた。
「…ったく…配送料は高くつくからな…」
「…あ…ありがとうございます三蔵様!!!」
沙羅は満面の笑みを浮かべ、どこかへ走っていった。
「…やさしいねぇ三蔵…さすがの鬼畜坊主も女の子の涙には弱いんだ…」
「…うるせぇ…」
沙羅がに旅立ちのことを話したのは朝の食事の時だった。
「…なっ…嫌だ!!俺はここに残る!!」
「だめなの!!分かって!!!」
「なんでだよ沙羅!!俺はもう必要ないのか?」
「それは…」
沙羅は返事に困っている。
「…やっぱ…よそ者はいらないのかよ…」
「違うの!!」
「そうだろ!!」
沙羅はうつむいたまま黙ってしまった。
「君…沙羅さんの気持ちも分かってあげて下さい…」
「どう分かれっていうんだよ…家族を目の前で殺されて…やっと見つけたと思ったのに…
やっといてもいい場所見つけたと思ったのに!!!」
「…」
「甘ったれるな…」
「…なんだと?」
が三蔵の言葉に反応し、勢い良く立ちあがると三蔵の座っている椅子の正面に立った。
「甘ったれるなと言ったんだ…聞こえなかったのか?」
「…あぁ聞こえなかったね…」
「…何度でも言ってやる…甘ったれ…」
「てめぇ…」
「自分の場所見つけたいんなら自分でさがしゃいいだろ…たまたまたどり着いた所にいつづけやがって…
そんなにすぐてめぇのいていい場所なんか見つかる分けがねぇだろバカが!」
「………」
全員黙ってしまった。
「途中までだったら、ちょっと狭いかも知れませんが、一緒に行きましょう…」
「…この森は?沙羅達は誰が守るんだ?」
「…バカかお前は?お前が現れるまで誰が守ってた?こいつ等はこいつ等で力をあわせてたんじゃねぇのか?うぬぼれんなガキが…」
「…そっか…はじめから俺の力なんて要らなかったんだ…」
「違うの!!今までは守ってもらえて凄くうれしかった!!だけど…」
「…いいよ沙羅…ありがとう今まで…俺…準備してくるわ…」
そう言うとは部屋を出ていってしまった。
「!!」
「…そっとしておきましょう沙羅さん…」
「八戒さん…」
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