宿


「…この部屋を好きに使ってください…」
「ありがとっ沙羅ちゃん♪」
「精霊ナンパしないで下さいね悟浄?それに、沙羅さんに手を出したとあっては、絶対君が黙っていませんよ?」
「へ〜い…でも、寂しい時はいつでもきてくれよ♪」
「大丈夫です。その時はの所に行きますから♪」
「あ…そう…」
「…ふられたな…」
「そうですね…」

そうして三蔵一行は一つの広い部屋に通された。

「さて…沙羅ちゃんが用意してくれた寝巻きにでも着替えるか…」

悟浄が服を脱ぎ出した。

「…気づいたか八戒…」
「ええ…彼女の火傷…新しいものでしたね…」
「まさか自分でやる訳はないし…一体誰がやったんだ?あんな可愛い子に…」
「…あんた達だよ…」

何時の間にか扉にもたれかかってが立っていた。

…いつのまに…」
「…今だよ…ノック聞こえなかったか?」
「聞こえたか悟空?」
「さぁ?」
「お前等な…」
「所で君…彼女の火傷のことですが…」
「…あんた等がさっき吸ってた煙草…あれだよ…」
「煙草??」
「…精霊…沙羅は樹の精霊か…」
「そうだよ三蔵様…あんたが吸って落ちた火が森の樹…沙羅に火傷をおわせたんだ…」
「…だからお前あんなに必死に煙草を…」
「…あいつだけじゃない…他にもあんた等が乗ってた乗り物に引かれた草とかもいるんだぜ?
全員に会わせてやろうか?」
「…結構です…」

悟浄が引きつりながらそう言った。

「あなたが森を汚したって言ってたのはこの事だったんですね…」
「…分かったら明日出てってくれ…もとの幸せな村に戻してくれ…」
「…なぁ…」

今まで珍しく黙って聞いていた悟空がの側に寄った。

「お前は?」
「…は?」
「…お前は一生ここで暮らすのか?」
「何言ってるんですか悟空…すみません君…気に…」
「…そうだよ…俺は一生ここで生きる…あいつ等を守りながら…」
「…なんで??なんであいつ等守ってんだよ?」
「なんでって…昔俺が守られたから…その恩返しだよ…」

一瞬の顔に影が差した。
その時、部屋の外で沙羅がを呼ぶ声が聞こえた。

「あ…じゃあな…旅の疲れ…よく取れよ…」

それだけ言うとは部屋を出て行った。

「…なんだ…結構いい奴じゃん♪」
「…恩返し…ね…」
「何があったんでしょうね?」
「知るか…寝るぞ…」

そうして三蔵一行は眠りについた。